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投稿日:2021年10月20日

買う人の目線で徹底的に考える

テーマパークで1箱7000円のクッキーを売る

九州にあるテーマパークで働いていたことがあります。

会社のあらゆる課題を解決する立場として入社しました。

言い換えれば、社長も含め、その会社の社員ができないことをする、とい

うのがわたしのミッションでした。

その現場が抱えていた課題のひとつに、自社で開発した1箱7000円の

クッキーが売れないというものがありました。

 

難しいものをどう売るか

クッキーに配合されたきのこの成分が脳の活性化を促すので、記憶力アッ

プにつながるというもので、簡単に言うと「頭のよくなるクッキー」という

なんとも奇想天外なコンセプトです。

テーマパークという場所柄もあって、7000円という高額商品はまった

く売れません。

わたしに課されたのは、このクッキーを売店で売るという難解なミッショ

ンです。当時、売店のひとりあたりの客単価は、平均1000円程度…。

「さあ、どうしたものか…」頭をひねらせた結果、わたしはあることを思い

つきました。

 

あえて高額であることを伝える

まずわたしがしたことは、クッキーを箱から出して、売店に訪れた子ども

たちに「試食」と称して食べてもらうこと。「さあ、どんどん食べていいよ」

と勧めると、「おいしい!」とみんな喜んで食べるのです。

そうすると、一緒に来ている親御さんやおじいちゃんやおばあちゃんが見

に来ます。そこで、はじめて商品説明をします。

「脳の活性化にいいクッキーで、続けて食べたほうがいいんですよ。ただ、

1箱すべて買うと高いので、興味があるならバラ売りもします。1個150

円で売っていますので、続けて食べられるかどうか、お子さんの様子を見て

からのほうがいいと思います。よく考えてから買ってください。高いですか

らね」

デメリットであった「高い」という言葉を、何度も何度も伝えたのです。

すると、おじいちゃんが子どもに「これ食べられるの?」と聞きます。

こちらはおいしいと言ってもらえるように、たくさん試食してもらってい

るので、子どもは「うん、おいしい!」と答えてくれるわけです。

そうすると、じゃあ「3箱ちょうだい」と買ってくださる。

これを繰り返したところ、コンスタントに毎日何箱かかならず売れていき

ました。

 

若い人には「おもしろさ」をウリにする

20代くらいの若いお客様には、「シャレで頭のよくなるクッキーはどうで

すか?」とおすすめしました。

すると、「おもしろいからお土産にしよう」と買ってくださることも。若

い世代の人は、ちょっと高くてもおもしろければ食いついてくれるのです。

この1箱7000円のクッキーを販売してからは、会社からも信頼してい

ただき、販売の教育も任せてもらえるようになりました。

最終的には、1日1万円だった売店の売上を

10万円にすることができました。

わたしが実践したのは、「どうしたら買いたくなるか?」。

お客様の立場と心理を徹底的に考えること。それだけです。

それをクリアすれば、確実にものは売れるのです。