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投稿日:2023年09月1日

「1億円」が雇用を考えるときのライン

面倒を見られるかどうかで判断する

会社の業務が軌道に乗り、ある程度の売上になってきたとき、経営者として、「従
業員を増やすこと」をどのように考えたほうがいいでしょうか?

雇用を考えるのであれば、まずは「自分で面倒を見られるかどうか」がひとつのポ
イントになるでしょう。
顧客単価や扱っている件数にもよるとは思いますが、1億円くらいまでであれば、
おそらくひとりでまわせるケースもあるのではないでしょうか。

ただし、件数が多い場合、ひとりで1億円を売り上げるのはかなり大変です。
わたしたちのようなサービス業で、たとえば1億円くらいの売上の会社なら、ギリ
ギリひとりで5000万円から1億円、もしくは外注の助けも得ながらまわしている
というレベルでしょう。
でも、確実に5000万円、1億円を超えているという場合には、人に入ってもらっ
たほうがいいですね。

人は多ければいいものでもない

わたしたちは、以前もっと多くの従業員を雇っていました。そのような状態を経て、
いまは最小限の形になっています。
いろいろな形を実践してきたからこそ、見えてくるものがあります。
これからの時代は、あまり多くの社員を雇わず、売上をただ上げることもせず、先々
を考えてバランスをとっていく方法が主流になってくるはずです。

会社にとって大切な「人」について、思うところをお話しします。
以前の会社形態のとき、わたしたちの会社には、多いときにはパート雇用のスタッ
フも含めて50人くらいの人がいました。
やはり、性別や年齢もバラバラな人たちが関わってくると、日々さまざまな話を聞
ける分、「従業員と上役」という関係性だけにとどまらず、とても助けられることが
ありました。
従業員がいることで、チームになって協力し合えるメリットもあります。

ただ、人を雇うことで、たとえば上役がいない間に従業員同士のケンカやいじめ、
嫌がらせが起こっていたこともありました。
上役がいつもいるのであれば、ある程度は把握できるのですが、なかなかそうもい
きません。内部の問題は、会社の業績がよくても悪くてもなくならないものですよね。
ずるいことを考えたり、悪いことしたりする人も出てきます。

サラリーマンとの発想のズレに傷つく経営者もいる

さらに、社員のほとんどは「会社のために」というよりも、「自分のために」仕事
をするわけです。給料をもらってなんぼ、給料が上がってなんぼ、ボーナスをもらっ
てなんぼ、という考えです。
そのような「サラリーマン的な」思考の人たちは、休みが多いほうがいい、早く帰
宅できるほうがいい、お金が多いほうがいいという考え方を根本に持っています。
会社が順調であれば、言われた仕事を正確にこなし、よくがんばってくれます。
ただ、会社が大変な状況になると、急に態度が変わる人がいるのも現実です。

会社を経営していれば、人のトラブルは当たり前のことですが、実際に目の当たり
にすると、人間ですからやはり傷つくものです。
全部自分の責任で起きたことなので、誰が悪いというのはありません。
でも、よかれと思って、みんなをしあわせにしたい、がんばってみんなを笑顔にし
たいと思って取り組んだのに結果にならず、訴訟になったり、揉め事になったり…、
いろいろことが起こったりすると、
「これでいいのだろうか…」
とやりきれない思いにも陥ってしまいますよね。

人を雇用し、育てるには「覚悟」が必要

人を雇うのは難しいものです。
人を「能力」だけで雇うのは、さらに難しいでしょう。
能力がある人だからと思って雇ってみたら、性格が強烈。人間関係がこじれていつ
の間にかいなくなり、ほかの会社へ移ったり、自分で事業をはじめたりする…。
一方、人柄を重視して雇ったとしても、肝心の仕事ができなければまたいろいろな
面で苦しむことにもなる。
人を雇って、その人を育てていくのは、まさに至難の業です。
本当に難しく、なおかつ覚悟が必要なことなのではないでしょうか。

会社の歴史を共有し、ともに積み上げていける人たちと組もう

いまわたしが一緒に仕事をしているメンバーは、長い付き合いで「人となり」を熟
知した人たちだけです。
わたしの会社の場合、
「もう人を増やしたくない」
という考えが、現在の体制になる原点でした。現メンバーであれば、騙されても、
うまくいかなかったとしても仕方がないと思える。そんなメンバーです。
究極の信頼関係のなかで仕事をしているので、とても安心です。

とくに小規模の会社で人を雇おうとするなら、相当な余力がないかぎりはよく考え
たほうがいいのではないでしょうか。
人を雇うということは、人ととことん「関わる」ということです。
そして、関わる=いろいろなことを共有するということです。
できれば、その会社組織がどんな歴史を歩んできたか、どんなことを経てきたかと
いうことに共感し、一緒にがんばりたいと思ってくれる人を招き入れたいものです。
時代とともに、「雇用」も変わります。
適切なやり方を見つけていきましょう。