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投稿日:2021年12月20日

どんな逆境下でも、 互いが浮上する道を見出す

その時々の一番の解決法を探る

 ある事業の工事を担当していたときのことです。

 木を切りすぎてしまったことが大きなクレームになったことがありました。

 結果、県に復旧計画を出さなければならない事態に陥ったほか、県の担当

者のもとに、毎日のようにそのことでクレームを言いに通う人がいました。

 対応する県の担当者も疲れてしまい、「早く書類を出してください」とせっ

つかれる毎日…。ある日、とうとうわたしが出向くことになりました。

 じつは、この木はわたしたちが切ったものではないのです。

 この工事を妨害している人がいて、あたかもこちらが切ったことにしてク

レームを引き起こしていたという背景がありました。

 つまり完全に濡れ衣ぬだったのですが、施主の立場だったため、

県にはいったん復旧計画書の提出を了承する姿勢を見せました。

 そのうえでわたしは、「その木を切ることはもともと県が許可を出してい

たこと。その手前、県にも責任はある」ということを担当者に伝えました。

 

互いにとってのWinを提示すれば、形勢が逆転する

 こちらも被害者です。穏便になるよう対応したものの、県側の歩み寄りが

なかったため、クレームを言いに来る人たちも巻き込んで訴えることをにお

わせました。そのうえで、「そういった事態にならないよう何でもするから

協力してほしい」とお願いしたのです。ここで一度、お互いが協力体制にあ

ることの確認ができました。

 復旧計画書も、県が書類をつくるのが一番早い解決方法だと伝え、県の担

当者が作成をしてくれることになりました。

 ここでわたしが意識したのは、お互いにとって一番早く解決できる着地点

を見出すことです。そのうえで、対等な関係で協力体制をつくることでした。

 話がまとまったら、その後、何度も県の担当者と一緒にクレームを言って

きた地主さんのところへ伺いました。そんなことを繰り返すうちに、県の担

当者からは、「協力していただいてありがとうございました」と言われるよ

うにまでなったのです。

「もうダメかも」とも思ってからが頑張りどき。

 そのとき大切なのは、誰にとっても得する状態をつくること。解決策はきっ

と見つかります。