コラム

Column

ホーム > > 自己破産について

投稿日:2023年06月20日

自己破産について

自己破産という制度を活用し、仕切り直す選択もある

「自己破産」がどのようなものであり、どんな制約があって、どういった場合に選択
すべきなのか、または、してはいけないのかについて、意外と知らない経営者もいる
のではないでしょうか。
あくまでも万が一の話ではありますが、知識として持っておくに越したことはあり
ません。概略をお話ししておきます。

どうにもならない状況に陥った場合、自己破産をしたほうがいいケースがあります。
ただし、ギャンブルなどにはまってしまったがためにお金を借りて、立ち行かなくなっ
て自己破産を繰り返すようなケースは別問題なので、割愛します。
問題は、事業の失敗で多額の借金を抱えてしまったようなケースですね。

たとえば、個人の負債として1000万円や2000万円を抱えてしまった場合、
その借金をコツコツと自分の給料で返すとなったら、どうでしょうか?
決して返せないものではないのでしょうし、人道的にも返済していくのが筋なのか
もしれません。
ところが、たとえば月50万円の給料をもらえるようになり、そのうち20万円を毎月
の返済に充てたとすると、それはとてつもなく大変なことです。
一生かけて返すような話になってくるのではないでしょうか。

なおかつ、その状態では永遠にクレジットカードも持つことができません。
クレジットカードを持てない制約のなかで、借金だけを返し続ける生活が、一生続
くと思ったほうがいいような状況です。
それは、かなり厳しいのではないでしょうか。もちろん、商才があって「ポン!」
と1000万円や2000万円の売上を上げて、マージンで500万円くらいをとれ
るような仕事をしているのであれば、話は別です。
でも、そういったケースは極めて少ないでしょう。
さらに、借金が億単位の場合には、たしかに交渉をして返済計画を決めて、がんばっ
て返すような方法もあるでしょう。
でも、先立つものがなければ基本的には無理ではないでしょうか。
こういった場合は、自己破産を選択するのもひとつの手段なのです。

自己破産をすると、カードが持てず、借入もできない

そうは言っても、自己破産をしたときの制約も知っておく必要があります。
まずは、自己破産をすると当然ながら、金融機関からお金を借りることができませ
んし、カードもつくれません。その期間は、金融機関で10年、クレジットカードは5
〜7年程度です。
ただし、この期間は表向きの話であり、じつは一生残ってしまうものなのです。
自己破産すると、その情報が「公示」されます。つまり、名前が公にされ、行政機
関や裁判所に貼り出され、官報にも名前が載ります。

自己破産をしたあとはどうでしょうか。
まず、普通に生活はできます。
会社員なら、普通に仕事も続けられます。クレジットカードが使えない、つくれな
い、といった制限があるだけです。信販会社の分割購入もできなくなりますし、保証
人になる権利も失います。親御さんがわが子の奨学金の保証人になろうとしても、少
なくとも一定の期間はなることができません。ローンも、一定の期間は組むことがで
きません。

自己破産はあくまでも最終手段

ですから、自己破産をするのはあくまでも最終手段であると考えましょう。
自己破産しても、その選択をしたために再び立ち上がることができた人はたくさん
います。傷が浅いうちに破産を選択するのも、ひとつの方法です。
「もしあのとき自己破産を選んでなかったら、いまはない…」
という人は、じつはたくさんいるのです。

ところで、破産の手続きをするためにも、弁護士を入れる、通知をする、手続きを
する…といったことが必要となり、意外とお金がかかります。
ですから、少しでも余力があるときに破産をする人も多くみられます。
お金がない人でも、お金を借りて破産の手続きをすることができる制度はあります。
もちろん、そのお金は後々返済していくものです。
前述した通り、自己破産から一定の期間が経過すれば、表向きではありますが、い
わゆる「ブラックリスト」から名前が消えます。そうすれば、またクレジットカード
をつくることも、住宅ローンを組むこともできます。
このように、自己破産にはいい面とそうではない面の両方があることを頭の片隅に
入れておいてくださいね。

なお、自己破産をする前に使っていたクレジットカードをもう1回持つことは、よ
ほどのことがなければかなり難しいと思っておいたほうがいいでしょう。